シザーリフトを
正しくお使いいただくために
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C0101-857(版4)
【エレベーターおよび高所作業台に関する説明書】
シザーリフトを
正しくお使いいただくために
シザーリフトをエレベーターとして、
建物の段差を解消する目的で使用することをお考えの方へ
弊社のシザーリフトは法律上、エレベーター(昇降機)として使用することはできません。
従いまして、エレベーターとしてご使用になるシザーリフトのお引合、
ご注文に対しては大変恐縮に存じますが、お断り申し上げます。
尚、シザーリフトで概ね上昇距離(ストローク)が1.5mを超える場合のお引合に対しては
ユーザ様における使用方法をご確認させていただく場合がございます。
ご面倒をおかけしますが、何卒ご協力願います。
エレベーター(昇降機)に関する詳細については下記をご参照ください。
本説明書はPDFでもご覧いただけます。
1.概要
シザーリフト(テーブルリフト、テーブルリフター、リフトテーブルと呼ばれる「テーブル式の昇降装置」)は使い方によっては昇降機(エレベーター)とみなされる場合があります。
昇降機は「建築基準法」と「労働安全衛生法」という2つの法律によって規定・規制されています。シザーリフト(テーブルリフト、テーブルリフター、リフトテーブル)は昇降機としては使用できません。これらを昇降機として使用すると法律違反となります。
法律違反によりユーザー様が被る不利益・不名誉を防止するために、当社はシザーリフトに関して“建築基準法”および“労働安全衛生法”を遵守した対応を行います。
どのような使い方が昇降機とみなされるのか、その法的な解説と対策を順を追ってご説明いたします。
(※昇降機とは、エレベーターの法律用語です。以降、エレベーターと記載します。)
メイキコウは、
違法エレベーターの
製造販売はいたしません!
2.エレベーター(昇降機)の定義
エレベーターは、2つの法律で規定されていると申し上げましたが、下記の通りです。
①建築基準法
この法律は、建築物や付帯設備の構造や強度を規定し安全かつ円滑な利用を促進するための法律です。
「一定の昇降路または搬路を介して、動力により、人または物を、
建築物もしくはその他の工作物のある部分から他の部分へ移動・運搬するための設備」と規定しています。
下図のように建築物に関連する昇降装置は、建築基準法上では全て“エレベーター”と見なされます。
②労働安全衛生法
この法律は、労働者保護の立場から安全確保と事故防止を目的に制定された法律です。
「人及び荷(人または荷のみ)をガイドレールに沿って昇降する搬器に載せて動力を用いて運搬することを目的とする機械装置」
と規定しています。
労働安全衛生法で規定するエレベーターとは、
ガイドレールがあるか、ないかで決まります。
人はのらない、のせて昇降させるのは荷物だけだからエレベーターに該当しないのではないか!」と仰る方がいますが、人がのらなくてもこの場合、「建築基準法」、「労働安全衛生法」ともにエレベーターに該当します。
3.何故シザーリフトは、エレベーターとして使用できないのか。
シザーリフトは一般産業用に設計されており、エレベーターとしての強度基準や安全基準を満たした設計がされた機械ではありません。
つまり、シザーリフトは元々機械やコンベヤラインに組み込まれたり、昇降式の作業台、高所作業台用として作られております。
正規のエレベーターとして設計、製作されていません。
お客様からは「どうしてメイキコウは5mも昇降するシザーリフトがあるのか?」とおたずねになられることがありますが、上記の機械やコンベヤラインに組み込んで使用する場合に高さが5mもある高揚程のシザーリフトが必要な場合があるからです。
エレベーターの基準に準拠していないシザーリフトを使用することは違法行為となります。
■詳細は、下記の建築基準法エレベーターの要件を参照ください。
エレベーターの構造上、主要な部分は建基法令第129条の4項に適合しなければならないと規定されている(各号は省略)エレベーターのかご及びかごの支え、又は吊る構造上主要な部分の構造は各号のいずれかに適合しなければならないと規定されている。国土交通大臣が定める「エレベーター強度検証法」により構造上主要な部分の基準を満たし、国土交通大臣の認可を受けなければならないが、メイキコウのシザーリフトは規定を満たしておらず、エレベーターとして設置する為の要件である確認申請ができないため、エレベーターとして使用することができません。つまり、「昇降機技術基準の解説」2016版 1.2-14~15参照「エレベーター強度検証法」:令第129条の4 第2項エレベーターの強度検証法に関する規定によるものです。
出展:「エレベーター強度検証法」とはエレベーターの機器の自重、かご及び釣合おもりの自重、積載荷重等に基づき、主要な支持部分等(主索及び主索の端部、マシンビーム、かごの床板、かご枠、レール、プランジャー、シリンダー、ゴムホース等)の強度を確認するための計算方法。「昇降機技術基準の解説」2016版 1.2-16より。
必ず正規のエレベーターを導入してください。ただし、メイキコウでは正規のエレベーターの製作については対応しかねます。
恐れ入りますが、エレベーター専用メーカにお問い合せ願います。
または、本書5項「建築基準法及び労働安全衛生法の規制を受けない用途」を参照してください。
4.違法行為に対する処罰
建築基準法、労働安全衛生法どちらか一方でも基準に適合しない場合、使用停止命令、改善命令、撤去命令などの行政処分
(建築基準法第九条及び労働安全衛生法第九十八条に規定)が下されます。
これらは使用者のみならず製造業者や請負業者などに対し相応の責任を負わせることが明記されています。
使用者には経済的な負担ばかりではなく、国土交通省・厚生労働省・各都道府県にて使用者及び製造会社名が公表され社会的名誉も著しく損なわれることになるのです。
※この行政処分は建築基準法、労働安全衛生法どちらに抵触してもおこなわれます。
監督官庁による監査が入った場合、
使用停止命令、改善命令、
撤去命令などが下されます。
それに伴う費用は全てお客様の負担になります。
万が一、事故が発生し、作業者に重篤な怪我を
負わせたり死亡事故などに結びついた場合は
雇用主(設置者)は刑事責任を問われることになり、
経済的な負担ばかりではなく社会的な名誉も著しく
損なわれることになります。
5.建築基準法及び労働安全衛生法の規制を受けない用途
シザーリフトの用途がエレベーターとなる場合、
メイキコウは次にご紹介するシザーリフトの導入を
ご検討いただくようお願いしております!
①垂直コンベヤの一部(全自動搬送機)
シザーリフトのテーブルに駆動コンベヤを設置、さらに上階側と下階側両方にも駆動コンベヤを設置します。
つまり一連のコンベヤラインにしてしまうのです。こうすれば建築基準法上のエレベーターから除外されます。
工場、作業場等の生産設備又は搬送(荷役)設備とし専らそれらの過程の一部に組み込まれる施設で、人が搬器への物品の搬出、搬入に直接介入せずに使用され、かつ、人が乗り込んだ状態で運転されるおそれのない構造となっているもの。
※全自動搬送機の場合、ガイドレールがある場合でも、労安法ではエレベーターと概ねみなされないが、監督官によってはエレベーターとみなされる場合がある
②シザーリフトに車輪を付けて移動式にする
シザーリフトに車輪を付ければ、移動式となり、建築基準法「一定の昇降路~~~」という規定から外れますので、エレベーターに該当しません。
高さによる規定はありませんが、メイキコウとしましては安全を考慮しこのケースの対応は、建物の段差の高さが1.5mまでとさせていただきます。
メイキコウには、本体移動時には車輪を出して、本体を昇降させる 時には車輪を格納できる「移動式段差解消用シザーリフト」があります。
③せり上がり装置(舞台用の昇降装置)
④高所作業台
6.設置場所を管轄する建築指導課に相談していただくようお願いしております。
“建築基準法”および“労働安全衛生法”のいずれも、昇降距離、つまり、高さに関してはなにも規定されていません。
すなわち、30cmの段差でも法律上、エレベーターとなります。
トラックヤードでシザーリフトを
使用する場合
トラックの荷台とプラットホームの段差をシザーリフトで高さ調整する用途です。
慣例的に荷役機械として使用されており使用方法としてはエレベーターに該当しますが、
設置する場所の自治体によってはエレベーターとしての確認申請不要と判断される場合があります。
※このケースは非常にあいまいで、設置場所を管轄する建築指導課または特定行政庁の判断により、判断が異なる場合があります。
非常に低い段差なのにエレベーターになるの?
トラックの荷台とプラットホームの段差を解消する用途はエレベーターとなるの?
シザーリフトのメーカーであるメイキコウでは判断することができません。
判断ができない場合は、お客様で設置場所を管轄する建築指導課に相談していただくようお願い申し上げます。
指導された内容は文書化し、次の相談をする時のために回答を頂いた内容を記録しておくと良いでしょう。
7.エレベーター(昇降機)の設置に関する問い合わせ機関
- (1)建築指導課(管轄:国土交通省)
-
建築指導課では、建物を建てる際の基本的なルールである建築基準法及びその関係法令に則って、建物を造るための設計図書を審査し、完成した建物及び敷地が適合
しているかどうか検査を行っています。また、現在ある建物の違反の取締り、建築計画概要書の閲覧及び証明書の発行等の業務も行っています。
各市町村の役所に設置されていますが、設置されていない場合は特定行政庁へ確認願います。
- (2)特定行政庁(管轄:国土交通省)
- 特定行政庁とは、建築主事をおく地方公共団体の長である。(長とは、都道府県知事、市長、区長、町長、村長をいう。)在住の市町村に、建築主事が置かれていれば、その市町村は特定行政庁となります。建築主事が置かれていなければ、その市町村の都道府県が特定行政庁となります。なお、すべての特別区(東京23区)には、原則として建築主事が置かれています。平成27年4月時点で、特定行政庁は、全国に450箇所あります。
- (3)労働基準監督署(管轄:厚生労働省)
- 法律に基づく最低労働基準等の遵守について事業者等を監督することを主たる業務とする機関です。
8.エレベーターに該当する場合、正規のものはどうなり、何をしなければならないのか。
建築基準法でエレベーターを建築物に設置する場合は、建築基準法の規定に基づく確認・完了検査を受けなければなりません。
また労働安全衛生法も適用されることから労基への届出が必要となります。
- (1)確認申請
- エレベーターの使用者(設計会社またはエレベーター製造会社が代行する場合が殆ど)が、建築指導課または特定行政庁に対し、エレベーターの確認申請をする。
- (2)確認済証交付
-
建築指導課または特定行政庁では申請を受け、確認証を交付し、設置工事の許可を下す。
この確認済証が交付されるまでは工事に着工できない。
- (3)完工検査申請
- 工事完了後、エレベーターの使用者(設計会社またはエレベーター製造会社が代行する場合が殆ど)が、建築指導課または特定行政庁に対し、機械の検査を申請する。
- (4)検査済証交付
- 検査官は検査申請を受け、申請どおりに設置されているかを確認し、検査済証を使用者に対して交付する。
- (5)労基への届出
- 使用者が製造業の場合、労働基準監督署への届出が必要になるため、交付した検査済証など必要書類とともに提出し、使用許可を申請する。
- (6)使用許可
- 労働基準監督署では使用者の申請を受け、申請通りに設置されていることを確認し、使用者に対して使用許可を与える。
使用許可が下されてはじめてエレベーターとして使用することが認められます。設置後は定期点検が義務付けられます。
9.サイズにより、エレベーターから除外される場合がある。
“小荷物専用昇降機” と “簡易リフト”はエレベーターの規定から除外される場合があります。
建築基準法・労働安全衛生法の記述の
“かつ” と “または”
建築基準法
■エレベーターに該当する場合
①かごの面積が1㎡を超えるもの または ②かごの高さが1.2mを超えるもの →①と②どちらか一方が当てはまれば、エレベーター
小荷物専用昇降機 : ①かごの面積1㎡以下 かつ ②かごの高さ1.2m以下
労働安全衛生法
■エレベーターに該当する場合
①かごの面積が1㎡を超えるもの かつ ②かごの高さが1.2mを超えるもの →①と②両方当てはまってはじめてエレベーター
簡易リフト: ①かごの面積が1㎡以下 または ②かごの高さが1.2m以下
【小荷物専用昇降機と簡易リフトのまとめ】
建築基準法→小荷物専用昇降機(ダムウェーター)
【適用対象】
・人または荷物を運搬する昇降機(積載荷重に関わらず)
(建築基準法 第129条の3の1の一)参照
・エレベーター(人の昇降も可能)
※かごの床面積が1㎡を超えるもの又はかご高さが1.2mを超えるもの。
(建築基準法 第129条の3の1の一)参照
※②・③は労働安全衛生法では簡易リフトですが、建築基準法ではエレベーターとなるため、建築基準法におけるエレベーターの構造規定が適用されます。
建築基準法 第129条の3の1この節の規定は建築物に設ける次に掲げる昇降機に適用する。一)人又は人及び物を運搬する昇降機並びに物を運搬するための昇降機でかご(人又は物を乗せ昇降する部分をいう。)の水平投影面積が1平方mを超え、又は天井の高さが1.2mを超えるもの。
労働安全衛生法 →簡易リフト
【適用対象】
・人及び荷(人または荷のみの場合も含む)をガイドレールに沿って昇降する搬機に乗せて、動力を用いて運搬することを目的とする機械装置をいう。
(労働安全衛生法施行令 第12条)参照
工場等に設置されるエレベーターで(一般公衆の用に供されるものは除く)
積載荷重が0.25t以上のもの。(労働安全衛生法施行令 第13条の28)参照
・エレベーター(人の昇降も可能)かごの床面積が1㎡を超えかつかご高さが1.2m以上のもの。
・簡易リフト(人の昇降が不可能)
※かごの床面積が1㎡以下又はかご高さ1.2m以下のもの。
(労働安全衛生法施行令 第1条第9項)参照
※かご床面積が1㎡を超える又はかご高さが1.2mを超えるものは労働安全衛生法では簡易リフトだが、建築基準法ではエレベーターとなるので、建築基準法における構造規定が適用されます。
※建築指導課または特定行政庁へ確認が必要。
10.小荷物専用昇降機(建築基準法)についての補足説明
“小荷物専用昇降機” と “簡易リフト”はエレベータから除外されます。従って製造許可、確認申請、設置届、定期検査(年次・月次)が不要なのですが、「労働安全衛生法」では簡易リフトとされても「建築基準法」ではエレベーターになる場合があります。エレベーターの規定も含め、「労働安全衛生法」よりも「建築基準法」の方が厳しいので本件については、建築基準法を正としたほうが良いと考えます。
また、“小荷物専用昇降機” と “簡易リフト”ともに行政の判断により確認申請が必要となる場合がありますのでご注意ください。
建築基準法を優先とすれば良い
小荷物専用昇降機:①かごの面積
1㎡以下 かつ ②かごの高さ1.2m以下
■ 荷物専用のため、人は乗れません。
飲食店(ラーメン屋、焼肉屋、中華料理店など)や小中学校で使用されている料理や飲み物を運搬する昇降装置です。
■ 安全装置:法令で定められている「すべての階の扉を閉じたときだけ、かごが動く構造」
「かごが到着したときだけ、扉が開く構造」を遵守するために、”ドアリミットスイッチ”と”ドアロック”が搭載されています。
【小荷物専用昇降機と確認申請】
小荷物専用昇降機は二つの型があります。
①テーブル型
扉の出し入れ口の下端が床面から50cm以上あるタイプです。
確認申請の要否の判断は、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体の長)の
建築主事が行うため、その判断は設置する地域によって異なります。
※特定行政庁が指定したテーブル型は、定期報告が必要な場合があります。
(詳しくはエレベーター協会にお問合せください)
②フロア型
扉の出し入れ口の下端が床と同じ高さにあるタイプです。
ロアタイプは、平成28年6月1日から確認申請が必要になりました。
当社のシザーリフトで小荷物専用昇降機は
実質的に製作できません
11.車いす専用リフト、段差解消機について
車椅子専用リフトも2002年6月1日改定の建築基準法にてエレベーターの一種と規定されました。
メイキコウは、「段差らく~だ」という商標名で段差解消機を製造販売しています。
但し、段差解消機の設置にも都度確認申請は必要です。
段差解消機は車いすの昇降以外の用途には
使用できません!
12.違法エレベーターに対する取り締まり
違法エレベーターに対する取り締まりは
厳しくなっています。何故でしょうか?
違法エレベーターによる死亡事故が
一時期多発したからです。
平成21年(2009年)2月25日に発生した死亡事故に伴い、国土交通省から各都道府県建築主務部長宛に発信された「違法エレベーター」に関する通達です。
13.違法エレベーターに関するお問合せについて、メイキコウの対応
建築基準法を優先とする
①コンベヤラインにする!
②リフトに車輪を付け移動式にする。
■非常に低い段差
■トラックヤード設置荷台とプラットホームの段差解消
設置場所を管轄する建築指導課または特定行政庁に 相談していただくようお願いしております。 メーカである当社が判断できません。
14.何故シザーリフトをエレベーターの代用として使用するのか
- ①初期の投下費用が圧倒的に安い
- ②独立構造のため建築物にかかる負担が少ない
- ③設置に要する改築、改造費用が安い
- ④既存の建築物へも容易に設置できる 木造建築物へも設置できる
- ⑤荷台(かご)の寸法に自在性がある
- ⑥煩雑な手続きが省略できる。(納期が短い)
- ⑦法定点検がないため設置後の
維持管理費用が安い - ⑧天井部分の機械室が不要。
メイキコウは、
違法エレベーターの
製造販売は
いたしません!
15.シザーリフトに人がのって高所作業をする用途は法律上どうなのか
高所作業台を規制する法律は?
→ 労働安全衛生法
労働安全衛生法第21条2項は、「事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。」と定めており、同法省令の労働安全衛生規則第518条が、安全帯の使用について具体的に定めています。
墜落の危険性のある高所作業の原則として、「事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。」(規則第518条1項) との定めがあるが、そうした「作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」(規則第518条2項)と、安全帯の使用を明確に求めています。
高さ2m以上の高所作業台については
「労働安全衛生法」に規定があります。